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鷲がその大きな翼を力強く羽ばたかせる。
強風がスタルフを襲い、体は簡単に飛ばされ屋根に叩きつけられる。
「うっ・・・!」
痛みと疲労で立ち上がれず、なんとか身を起こそうとするスタルフの耳に羽の羽ばたく音が近づいてくるのがわかり、視線を上げれば鷲の鋭く曲がった鉤爪が鈍く光っているのが見えた。
―――――殺される。
助けを求めたいが恐怖でのどは凍りつき、僅かな声も息を呑む音さえも出ない。
嫌だ!誰か・・・!
バサァ・・・
視界を覆う風を受けてひるがえる物。
スタルフには覚えのある物だった。
切ないほどに優しい仲間がいつも大切に来ている上着だったから。
「オト・・・?」
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