突然

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先日父が他界した。 享年60歳。 母と私を含め三人の息子を残したまま突然の出来事だった。 それは去る11月某日。 めったに連絡の無い母からの電話が鳴る。 しかし私はすぐにその電話に出ることが出来ず、2時間後に着信に気付いた。そこには母からの音声メッセージが残されていた。 『お母さんです・・・・お父さんが・・病院に・・。』 半分泣き声のせいかあまりしっかりとは聞き取れなかったが、声のトーン、わずかに聞き取れた内容、それよりも同じような状況を半年前にも経験していたせいかすぐに父が危篤状態であることに察しがついた。 半年前。同じように母からの電話。 『お母さんです。お父さんが救急車で病院に運ばれました。今から緊急手術です。』 母から電話があるときは決まってこの手の電話である。 父は昔から病気がちだった。胃、肝臓、肺、腎臓・・あらゆる臓器が蝕まれていた。家族全員の病を父一人で背負い込んでいるように。 半年前は大腸からの出血だった。父は酒、煙草が大好物でほとんどの病がそのせいだと医者には言われ続けていた。だが父は止めなかった。 いや、止められなかったのか。この時も酒が原因だった。
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