case1.望美

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      急に、今まで黙って望美の話を聞いていた陸が顔を上げた。 目も鼻も赤くなって、頬には流れた涙の後。 きっと、泣いてしまってるあたしの為に我慢してくれてるんだね。   「話してくれてありがとうな。 俺の事を思て、辛い事やのに頑張って話してくれたんやな。 うん、わかった。 望美の子供は俺の子供も同然や。 それに、もしこの先俺らが子宝に恵まれんかったとしても、二人でおれたらそれでええやん。 出来たら出来たで二人で大切に育てればいいんやし。 そりゃ俺かって子供好きやし、ほしいけどな、そんな事で別れる程、俺らの愛は薄っぺらいもんじゃないと思うで。」   そう言い、陸は望美を抱きしめた。   望美はいきなり抱きしめられた事に驚き、そしてまた泣いた。 すごく嬉しかったから。 なんでこの人はいつもあたしのほしい言葉をくれるんだろう。 この人に、陸に会えて良かった。 陸が隣にいてくれれば、あたしの世界はこれからも素晴らしい。      
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