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俺の肩には消えへん傷がある。
ケロイド状になったその傷を撫でながら、俺の彼女、望美は何故か悲しそうや。
望美との出会いは大阪。
友達と旅行に来てた望美に俺らが声掛けたんが始まり。
ギャルやと思ったけど、考え方とか話し方が意外としっかりしてて、今まで俺の周りにおらんようなタイプの望美に俺はどんどん惹かれてった。
あのね………。
トリップしてた俺の横で必死に言葉を選んでる。
いつもは喋りな俺やから、たまには黙って聞いたろか。
その彼との間には…
え…。
次に望美の口から出た言葉に俺は驚きを隠せんくて…。
思わず顔を伏せてしまった。
そんな俺には気づかん程必死なんか、望美はどんどん話を進めてく。
出身が関東やからか、大阪生まれ大阪育ちの俺とは明らかに違う話し方。
ゆっくり、しっかり言葉を紡ぐ…そんな所が好きやったりする。
できなくなっちゃったんだ…。
話しながら望美の目には涙が溢れてくる。
気づいてないんかな。
強がりな望美やったらいつもまるで自分が泣いてないかのように振る舞うのに。
そんな望美を見てたら俺まで…。
ダサいな。
男は泣いたらいかんてばぁちゃんの遺言やで。
愛してるっちゅう事かね。
こんなあたしで…。
話し終わって、一息ついて、やっと自分が泣いてる事に…そして俺の肩の震えが止まらん事に気づいたみたいや。
俺はこれ以上泣いてしまいそうになるのを我慢して、少しでも…ほんの少しだけでもええから…この小さくて弱い彼女がこれからも俺の隣で笑ってくれるように、話した。
いつもは照れて言われへんような言葉も、お前の為ならなんぼでも言うたる。
愛してる。
愛してるから…。
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