坊主頭の盗塁

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『こら!早く起きな!』 僕は母の声で目を覚ました。 『うぅ…あと2時間寝せてくれ…』 『長すぎよ!ほらっ、バカ言ってないで起きる』 しかたなくベッドからゆっくりと起き上がり、しぶしぶ着替えだす僕。 半ば寝ぼけながらも着替えを終え、見えない目で鏡を見る。 そこには坊主頭の自分が写っていたのが微かに見えた。 坊主は寝癖がつくことがないため、こういう時は本当に楽である。 僕は支度を済ませ、朝食のある台所へ向かった。 『おはよっ……んん?お前なんだその服』 先に朝食を食べていた父が何か僕の異変に気づいたようだった。 『え?なに?』 『いいから鏡見てこい』 (ん?) 僕は洗面所に顔を洗いに行った。 手に水をくみ顔を洗い鏡を見ると (うぉ!なんだこれ!) そこにはブレザーが裏返しで首に直接ネクタイを巻いた自分がいました。 『うわぁ~恥ずかしすぎる…穴があったら入れてみたい』 と、バカなことを言いながら僕は再び自分の部屋へ戻り着替え直すのだった。
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