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バイトは午前1時に終わった。
たまに店長に許可を得て車でバイトに来ていたのだが、この日もセリカがバイト先の片隅に置いてあった。
働きはしたが半分アダルトビデオの発注書を見ては誰がカワイイやら、これはエロいやら、観察をし、残り半分は返却されたビデオを棚に返す作業で終わった。
もちろん棚に返しながら気になる新作ビデオのパッケージを観察し、吟味する。
半分遊びである。
バイトあがりにバックルームで雑談した後、着替えて店を徘徊。
棚から10本ビデオを抜き取る。
機動戦士ガンダム。
一応普通にレンタルして、店をあとにした。
家には帰らずガソリンを入れて金剛へ向かった。
ユウキはこのところヒマを見つけては金剛に通っていた。
気付いたと言うべきか、目覚めたというべきか。
楽しくて仕方なかった。
1人でもおかまいなしだった。
そこに行けば誰かがいて、誰もいなくても何かがあるような気がしていた。
それが反社会的な行為であり、人に迷惑と心配をかける行為であることはわかっていた。
だとしても何かそこに、自分が望むものがそこにあるような気がしていた。
真っ暗闇のトンネルの中で、一筋の光を見つけたような気がしていた。
コウスケとヒロノリと一緒に初めてドリフトを見たあの夜から3年半がたっていた。
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