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タバコに火をつける。
次の瞬間バックミラーのライトが揺れる。
「おぃおぃ…」
ユウキはとっさに右に寄る。
それを見てパトカーは左に。
ユウキは左に。
「こらー危ないんじゃー!どかんかボケがー!」
(危ないのはどっちじゃ。タバコ落とすか思ったわ。)
カーチェイスみたいになってきていた。
ユウキはワクワクしながら少し心配になってきていた。
代車なのだ、このギャランは。
ここまできたらもう仕方ないのだけれども、ナンバープレート丸出しでカーチェイスごっこをしていることにハラハラドキドキした。
しかしその不安のドキドキさえも、もはや今のこの状況に興奮させ、ユウキのテンションを上げるものとなっていた。
夜間通行禁止区域から抜けるまであとコーナー3つと橋があるT字路までの直線を残すのみ。
民家があることすら忘れたかのようにパトカーはサイレン音を響かせながらユウキを追い抜かそうと蛇行運転を続ける。
(ヤバいなぁ、もうまかんかったら最後まで来よる。)
ユウキは覚悟を決めた。
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