はじまり

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車を停めて3人は歩き出した。 「なんやここ?」 「えらい人と車やなぁ。」 「なんや言うたら港や!」 「こんなとこやのに結構な人おんでー。」 「まあまあついてこいって、お前ら。」 耳に入る車の排気音。 前方には人が集まる交差点。 車の排気音とキャキャキャと言う音が入り混じる。 ユウキは何してるか全く見当がつかずただコウスケの後に続く。 心なしか何事にも冷めた雰囲気のあるヒロノリも楽しげな感じ。 近付いて行くとさほどその交差点は人口密度が高いわけではなかった。 前方から光。 車が走ってくる。 交差点手前で突然横滑りし出す車。 近くで聞くと激しい音。 排気音に混じってタイヤが地面をかくスキール音。 ギャギャギャギャ…!! 1台だけじゃない。 10台以上のスポーツカーらしき車が連続で次から次へと車が横滑りしていく。 「うぉ…。」 ユウキはポカンとなる。 「すげぇなぁ、これ。」 「やろ、ヒロノリ!」 「ホンマやなぁ。」 「なんやこれ?」 「ドリフトってやつや。」 「ドリフト?」 「なんや、それ?」 「なんやって見たまんまや。これや。」 「なんで横向ながら曲がってんねん。」 「ホンマや。危ないなぁ。」 「あぁ、お前らペーペーにこの良さはわからへんねんなぁ。」 「ペーペーってなんやねん。」 「確かに免許俺ないけどや。」 コウスケは目がキラキラさせて言った。 「俺な、これやろう思てんねん!」
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