11ヶ月

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「100万以内かぁ…」 大学の21号館1階、1番後ろに座ったユウキはつぶやいていた。 「また見てんの?」 なぜかいつも一緒にいるようになったイバラキが言う。 「だってほしいんやもん。」 「そりゃそうやな。何欲しいんやった?」 「オデかエスティマやなぁ。」 「100万じゃ無理やろぉ。」 「せやねん。だから掘り出し物ないか隅々まで見てんねんやん。」 「ないって。あっても怪しいで。」 「怪しい?」 「走行いってたりエンジン死にかけてるとか。」 「ふーん。」 「中には走行距離ごまかしてるやつあるし。」 「ごまかす?」 「うん。メーター巻くんやん。」 「へー。」 「ホンマなんも知らんねんなぁ。」 「うっさい、うっさい。」 ユウキは車に関して本当に何も知らなかった。 ただ欲しいという気持ちが先行し、なんとなく中古車情報誌ばかり見ていただけだった。
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