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「100万以内かぁ…」
大学の21号館1階、1番後ろに座ったユウキはつぶやいていた。
「また見てんの?」
なぜかいつも一緒にいるようになったイバラキが言う。
「だってほしいんやもん。」
「そりゃそうやな。何欲しいんやった?」
「オデかエスティマやなぁ。」
「100万じゃ無理やろぉ。」
「せやねん。だから掘り出し物ないか隅々まで見てんねんやん。」
「ないって。あっても怪しいで。」
「怪しい?」
「走行いってたりエンジン死にかけてるとか。」
「ふーん。」
「中には走行距離ごまかしてるやつあるし。」
「ごまかす?」
「うん。メーター巻くんやん。」
「へー。」
「ホンマなんも知らんねんなぁ。」
「うっさい、うっさい。」
ユウキは車に関して本当に何も知らなかった。
ただ欲しいという気持ちが先行し、なんとなく中古車情報誌ばかり見ていただけだった。
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