第一章:WORLD OF LONELY GIRL

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しかし、そうは言ったものの、彼に直談判する機会なんて俺如きに与えられるのか? たかが一般兵に過ぎない俺に、Mr.Aと接触するチャンスは存在するのか? 「だが、まずはやってみなければ始まらない」 何事も、やる前から放棄しては当然成し遂げられない。 当たり前のことだが、当たり前ゆえに大切なこと。 ならば行くしかないだろう。 この身一つ、『絶対不可侵の果て』へ向かうしかない。 「なあ、パルケ」 「はい」 俺は今さっきその存在が認識されたばかりの彼女に、重々しい口調で声をかける。 「君は、この先どうしたい?自分の居た場所に帰るか?それとも、ここに留まりたいか?」 勿論、仮に彼女が戻りたいと言うのなら、それは安全が完全に保障された後、その意志を尊重して元の場所へ戻すつもりだ。 俺は揺らぐことなく真っ直ぐこちらを見据えてくる彼女の瞳を、同じく真っ直ぐに見つめ返しながら、しばし彼女の回答を待つ。 そうして数秒後、彼女がその口を開いた。 「ここは、私にとって、真っ白い場所です」 「……」 「何もわからない、初めてのことばかりで、新しいものばかりで、全然、落ち着かない、場所です」 「……そうか」 「でも、ここには、私がいます」 自分がいる。 「あの場所には、誰も居ません。私も、いません」 自分がいない。 「私は、あの場所には、戻りたく、ない、です」 「……わかった」 その答えは、初めから予想できていたものだった。 彼女が元居た場所、そこに戻りたいなんて意志が無いだろうことは、容易に想像がついていた。 そんな世界にいるくらいなら、ここに居た方がいい。 誰にも認識されない、誰とも接触しない、孤独であり、孤独でしかない世界よりも。 他人に認識され、他人と接触し、誰かと笑い合える世界のがいいはずだ。 そう。少なくともここには、俺がいるのだから。
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