第一章:WORLD OF LONELY GIRL

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ならばこそ。 覚悟は決まっている。故に、やることも決まっている。 「よし、わかった。それじゃあ、君はもうちょっとここで待っていてくれないか?」 「……また、どこかへ、出かけるのですか?」 「ん、まあ、野暮用でな」 軽い口調でそう言い放ち、俺はくるりと身を翻して部屋の取っ手に手をかける。 あくまで、『ほんの少しどこかにお出かけする』程度の雰囲気を漂わせて、俺は部屋を出た。 「――……」 バタンと、空虚な音を立てて扉が閉まる。 同時に。 「……」 一気に、冷や汗が、額から、あふれ出した。 ガクガクと、足が震える。 俺は、今から、何をしに行こうと言うのだろう? たかが一般市民を、S・A・Dの施設内に住まわす? 本来なら、一時の保護の為であれ中に入れるのは躊躇われると言うのに? S・A・Dと言う組織の特異性、それを理解していれば理解しているほど、今自分がやろうとしていることが、いかにふざけたことなのか、嫌と言うほど認識させられる。 Mr.Aに、直談判。 S・A・D全体を取り仕切るのは彼だ。 部外者の闖入に対し判断を下すには、どうしたってまずは彼を通さねばならない。 いや……、それならばまずは隊長殿に相談してから、彼の口から話してもらうか? 違う、ダメだ。これは俺の個人的な決定だ。正規のルートを通っても、間違いなく却下されるだろうとわかっている上での、俺の決定だ。 だからこそ、俺自身が直接Mr.Aに訴えかけなければならないんだ。 それがいかに、とんでもないことか知りながらも、俺はそうしなければ、いけないんだ。
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