第四章:LIVING THING OF CONTRADICTION

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一度目は悪魔の姿をしていた。知性も何も無く、言葉だって話せなかった。 二度目は剣士の姿をしていた。知性を持ち始め、不安定ながらも言葉を話せた。 そして三度目――、遂に奴らは人の姿になった。知性を持ち、言葉を話す、『完全なる人間の模倣品』として今目の前に存在している。 「――ッ」 この変化は何だ?この成長は何だ? 以前の黒い剣士は言っていた。 知性を得ることで、言葉を得ることで、そして彼自身は言っていなかったが、恐らく俺たちの姿に近づいていくことで。 和解の可能性が、見出され始めていると言うことを。 この成長は、主が迷っている証拠なのだと言うことを。 和解なんて、出来るのか? 知性を得たところで、言葉を話せたところで、俺たちはこいつらと分かり合えるのか? 少なくとも――、以前の黒い剣士とは全く分かり合える気がしなかったのに? 「殺シチャオウ」 「ウン、殺しちゃオウ、コロシチャオウ」 「それこそが、僕らの生キル道」 「それこそが、僕らのイキル意味」 「――ッ!」 しまった。戦いの最中に考え事をするだなんて、愚かしいにもほどがある。 頭上の双子。此方に向かって、重力に従うまま降り落ちて来ている。さあ、どう来る?どう仕掛けてくる? 俺は氷剣を構え、迎撃の体勢を取った。 「扉がヒラク。――Different dimension flight」 双子の片割れ――声の低さから、男のほうだ――が、何か、呪文のようなものを呟く。 一体何をする気か――、と。俺が更に警戒を強めたその次の瞬間。 「――!?」 ドスンと、強い衝撃。 胃の中のものが全て逆流しそうな、強烈なボディブロー。 「ば――、かな」 双子の姿は、まだ上空にある。 ならば、これは――!? 俺の身体はその一撃によって、無様にも後方へと弾き飛ばされる。 すかさず体勢を立て直し、俺は『今俺を殴ったものの正体』を見極めんと、視線を巡らせた。 「――なに……!」 そこにあったのは――、拳だ。 俺がさっきまで立っていた場所。そこにあったのは、拳、そして腕。 『拳と腕しかなかった』。 『拳と腕だけがその場に浮かんでいた』。 ――まさか。 地面にほぼ同時に降り立つ双子。 俺はその片割れの右腕に注目する。 ――やはり、無い。 そこだけ、ぽっかりと、消しゴムで消されたかのように、無くなっている。 ――これは、転移系魔法。 「ユダンしちゃ駄目だよ」 「駄目ダヨ、ダメだヨ」
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