第四章:LIVING THING OF CONTRADICTION

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馬鹿にしたかのよう、無邪気に戦いを楽しんでいるかのよう、ケラケラケラと双子は笑う。 ――身体の一部を魔法の効力範囲内に転移させる能力、か? あるいは――、いや、今の一撃ではそのくらいしか思いつかない。 「次はキミがイクカイ?」 「ウン、イク。ワタシがイク」 声の高いほう――、つまり女の方が今度は一歩前に出る。 そして次の瞬間、ひょいっと宙に浮かんでいた拳と腕が引かれると、そのまま消えてなくなり、代わりに双子の男の方の右腕が元通り復活した。 ――転移したというよりは、まるであいつの右腕のある場所と、先ほどまで右腕が浮かんでいた場所が繋がっているかのような――、そんな感じの移動の仕方だ。 わからない……、一筋縄ではいきそうに無い。 「イキマス、イキマース」 「……ッ!」 と――、今は双子の男の方よりも、此方に向かってきている女の方の迎撃が先だ! 思い切り右腕を振り上げ、殴る体勢を作る双子の少女。 向かってくるスピードも、拳を振り上げるスピードも大したことは無い。 ――余裕でかわせる! 「ターッ」 マヌケな掛け声。それと共に振り下ろされる拳。 それを難なくかわし、俺は彼女の背後を取る。 目標を失った彼女の拳はそのまま地面へと突き刺さった。 彼女の拳はめり込み、激しい打撃音が―― 「え……」 聞こえない。 無音、無風、無振動。 何も起こらない。それどころか、彼女の殴った地面には傷一つ無い。 どういうことだ?彼女には全くパワーがないということなのか? いや、それにしたって今のは―― 「またユダンだ。ミスティック・レイジ」 「ユダンだ、油断ダ。ミスティック・レイジ」 「――ッ!」 しまった――、絶好の攻撃のチャンスだったにも関わらず、俺は一瞬動きを止めてしまっていた。 正面には既に戦闘の構えを取り直している少女。 背後には、此方に向かって駆け出している少年。 完全に挟み撃ちの状況だ。 まずい、一見ふざけているように見えて――、こいつらはしっかり連携が取れている!
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