第四章:LIVING THING OF CONTRADICTION

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「オープン・ザ・ドアー。――Different dimension flight」 「――ッ!」 双子の少年の方――、またさっきと同じ呪文だ。 正面の少女の方の能力も気になるが、今はやはり背後、少年の方の攻撃に備えるべきだろう。 俺はそう判断を決めると、左手にも氷の剣を精製し、半身だけを彼の方へ向ける。 「――え……」 それはまるで、風景の中に身体が溶けていくように。 少年の身体は此方に走り寄りながら、顔の正面から順に、スゥと音も無くその姿を消した。 「――転移系魔法……!くそッ、どこだ!?」 落ち着け。タネはわかっていないが、どういう能力なのかは大体把握できている。 消えたのではない。どこかに瞬間移動をしただけだ。 「コッチだよ」 「コッチ、コッチ」 「――……ッ」 声は右方向から。 少女と少年。彼ら二人は並んで此方に向かって来ている。 少女のいる側に転移したか。だが、折角の挟み撃ちの機会を逃す意味は一体―― 「――ッ!?」 その答えは直ぐにわかった。 後頭部に、鈍い衝撃。 ぼやける視界。その視界の中、写った少年の右腕は再び『無くなっている』。 俺の注意を逸らし、クリティカルヒットを狙うために――! 砕けそうになる足腰。俺は何とか踏ん張り、戦闘の体勢を整えようとするが―― 「二発分ダネ」 「ウン、二発分、二発分」 今度は少女の方――、彼女の方の右拳が、ふらつき、上手く動けない俺の顔面を、正面から思い切りぶち抜いた。 ――ズドォォォッ!! 「――ッ!?」 激しい衝撃。吹き飛ぶ身体。思わず意識が飛びそうになる。 鼻血を出し、弧を描いて宙を舞いながら、俺は薄れ行く意識の中、混乱していた。 ――何なんだ、この馬鹿げたパワーは。 ――さっきの、何の力も篭っていなかったパンチは何だったのか。 少年の方はいい。だが、少女の方の能力が全く見当も付かない――ッ!
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