第一章:WORLD OF LONELY GIRL

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今ここで一人悩んでも答えは出そうに無い。 俺はため息一つ、椅子から立ち上がると、とりあえず自室に戻って少女と接触をとることに決めた。 彼女についての情報があまりに乏しすぎる以上、彼女の処遇をどうするにしろ、まずはもっと彼女から彼女自身の話を聞きだすべきと言えた。 「おや、ミスじゃないですか。今回はお疲れ様」 喫茶店を出て直ぐ、正面から声。 顔を上げるとそこには、足首まである長い髪を揺らすB番隊女性隊員、最近付け始めたキリッとした眼鏡が特徴のライザの姿があった。 「どうも。なんだ、あんたも一息つきに来たのか?」 「そんなところです。あなたも仕事の後の一服、ですか?」 「ま、半分そんな感じだ」 「ふふ、そんな見るからに疲労を感じさせる顔をしないように。こちらまで疲れてしまいます」 そう言って、彼女はクスリとおかしそうに小さな笑みを溢す。 「ふん。B番隊には仕事が回ってこなかったんだからいいじゃないか。C番隊だけが大忙しだったってことだ」 「まあ、今後はそうも言ってられなくなりそうですが」 「どうかね。案外ちょろっとした災害程度で、これ以降は何ともならないかもしれないぞ?」 個人的にはそうであることを願いたいし、それは他の皆もそうだろう。 もしこれからも継続的に、あんな意味不明の化け物が空から降り堕ちてくるなんて事件が起こるようだったらやっていられない。 それこそ降水確率ならぬ、『本日の降悪魔確率60%、皆様、怪我に注意して一日をお過ごしください』なんて馬鹿げたニュースが日常化しかねない。 そんな狂った世界はお断りだ。image=241791567.jpg
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