Rose of Moon

特訓と黒髪の少女

「このクラスにサークルに誘いたい人がいるのですよ」

「それって…クロエさんですか？」

キャロルの質問に、はい、と頷いて返す。

教室の中には昼休みだというのに人が多く、一体だれがクロエなのか検討もつかない。

あいつだよ、とレンが指差したのは、皆が注目する中、キャロルたちに全く興味を示さない一団だ。

その異様さは、人目見ただけでわかった。

一人の少女を何人もの男たちが囲んで昼食を摂っているのだ。

その中心で愛想を振り撒く少女は長い黒髪とアメジストのような大きな瞳を持つ、遠目から見ても分かるほどの美少女だった。

醸し出す雰囲気は東洋的な、一種の妖艶さを纏う独特なものである。

「あれがクロエ・キャニエット。成績はユフィの次席なんだぜ。んで、難点を挙げるとすれば……」

少し考えたあと、まあその内わかるさ、と笑い飛ばす。