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つまらなさそうにその様子を見ていたクロエだが、皆が静かになったころを見計らって口を挟む。
「……別に聞きたくもないけど、なんでそこのキャロル君に剣を教えて欲しいわけ?」
傲岸な口ぶりは、どこかローズと似通ったところがある。
その質問に答えたのはユフィだった。
「実は、ウィチルの森というところに魔女が住み着いたらしいのです。近隣の住民も怯えているようで…だから、魔女退治に行こうと話していたのです」
ウィチルの森の魔女、という言葉にクロエはイライラと爪の先をいじる動作を止める。
ばっ、と顔を上げると、その顔には焦りのような、驚愕のような表情が浮かんでいた。
「……あんたら、本気で言ってんの…?」
「そうだけど?」
クロエの震える声に、ローズがこともなげに言う。
「…やめなさい。あの森の魔女に手を出したら、命の保障はしないわ」
その顔は、教室で愛想を振り撒いた時のものとも、さっきの怒りに頬を上気させていた時のものとも違い、冷静に判断を下している顔だった。
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