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「何か知ってる顔だな、クロエ」
に、とレンがいつもの表情を浮かべる。
はっとすると、クロエははめられた、と悔しそうにレンを睨みつける。
最初からこれが目的だったのかは知らないが、まんまと罠に引っかかった自分が腹立たしい。
「別に、何もしらないわよっ!あんたたちが森でのたれ死のうと、あたしには何も関係ないっ!」
ふん、とそっぽを向いて立ち上がると、傍に立っていたユフィを「どいてよ!」と乱暴な動作で押しのけ、そのままサークル部屋から出て行ってしまった。
目の前で起こっていたやりとりの終わりに、キャロルは知らずのうちにため息をつく。
しかし、レンは最前線でクロエに罵られていたにも関わらず、平然と、むしろどこか嬉しそうにしているようだった。
「いやー、断られちまうとはまさかの出来事だったなぁ」
「……レン、全然思ってないでしょう」
「はは、ばれちまったか」
ローズはずっと黙ったままで、クロエが出て行った扉を見つめている。
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