嫌なバイト

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『おはようございまーす』   扉を開き、いつもの調子で仕事場特有の時間外れな挨拶をする。   『おっはよー』   店の奥から、籠った図太い声でのレスポンスがある。   声の主は店長……?   そこには、色褪せながらもカラフルに彩られた、笑ったような表情の、木製の仮面を被ったアホが一人たたずんでいた。   顔面からは“何族”かも分からないが、仮面とは不釣り合いな、地味な焦茶色の着流しは店長のものであろう。   『何やってるんすか…』 『いやぁ~、アホみてぇなツラだなぁって思って被ったら、取れなくなっちゃってさ! 外すの手伝ってくんない?』   アホはお前だろ。 これがいつもの店長なのである。
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