嫌なバイト

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仮面は呪いでもかかっていたかのように、取り外すのには時間を要した。   小一時間かけてやっと外すと、そこには若干色黒肌で短髪の、サングラスをかけた男が現れた。 俗に言うちょいワルという風貌には似合わない、骨董品店を経営している。   初対面で、彼は自らをこう名乗った     ジャック・ニコルソン     んな訳あるかい。   この着流し姿は今や『サムラーイ』と言っている外国人観光客を思わせるが、目の前にいる人物は明らかに黄色人種なのである。   三ヶ月は働いているが、本名は未だに名乗らない。 正確な年齢すらも分からない。 性別は…ありえないだろうが、とにかく謎多き変人だ。   『悪いねぇ~!コレ重ってぇから首が痛くて敵わねぇや』   疲労の為首を回しがてら、和洋折衷の骨董が並べられた店内を見渡す。   『あ、そうだ。ヨーロッパの方の商品を倉庫から持って来てくんねぇかな?』   そう言いながら、もみあげと繋がっている無精髭をいじりる。 仕事を頼む時の彼の癖だ。   俺は商品リストを渡されると、倉庫へと向かった。
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