幸福なる天使のお告げ

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「それじゃ授業は終わるぞー」 数学の教師がそう言った途端チャイムが鳴り響いた。 俺達は一斉に立ち上がり、礼をして授業を終えた。 今日は9月1日。 新学期の始まりだ。 そういえば何か隣のクラスに転入生が来たらしい。 顔でも出しに行くか。 俺が教室を出て行こうとした瞬間、誰かに腕を掴まれた。 「翔、どこに行くんだ?」 振り向いたらそこには龍がいた。 「何って、隣のクラスに来た転入生に挨拶しに行くだけだけど」 俺はそう答え手をがっしり握っている龍を引き摺って隣のクラスに入った。 「おい、翔! 俺だって女なんだから乱暴にしないでよ!」 はいはい。 「分かった分かった。じゃあ挨拶にでも行くか」 俺は龍にそう言って見慣れない目の前の茶髪の女子に声を掛けた。 「ねえ、君」 「はい、何ですか?」 ……また敬語キャラか? 「今日転入してきた子だよね?」 龍は即座にそう言った。 「はい、名は[広永 渚(ヒラナガ ナギサ)]と言います」 広永さんか。 …ん、広永 渚? 聞いたことがある。 「ねえ、広永さん。俺と前会ったことあったっけ?」 俺は広永さんにそう言った。 「え? 何の冗談でしょうか?」 広永さんは笑いながらそう答える。 「……ねえ、どこから来た?」 俺が訊くと、広永さんは即座に答えた。 「御門中ですが……」 御門中? ……あ。 沙雨那がいた中学じゃないか。 「ねえ、あのさ」 「はい?」 「いや…、 [二階堂 沙雨那(ニカイドウ シャウナ)]って人知ってるよね?」
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