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男らしき人影が
いきなり暗闇からあらわれ
雅史が手にしていたクーハンを奪って
走り去った。
「どっ泥棒!!」
やっとのことで裕子が叫んだ。
「待てっ」
広之と大介が追いかけた。
雅史は裕子を引っ張り上げて
ほこりを払った。
「なっ何なの?今の」
「わからん…」
「とにかく車に戻ろうよ」
2人は真美と雅樹が待つ車に戻った。
「おかえりぃ…パパ」
真美はノー天気に言った。
車に乗り込んだ雅史と裕子は
ドアをロックした。
「どうしたの?
広之と大介は?」
「泥棒を追いかけていった」
裕子が答えた。
「は?」
「あれはひったくりだろうな」
雅史がつけたした。
コンコンとドアを叩く音がした。
外を見たら
買った荷物をクーハンに入れて
大介と広之が立っていた。
「何だったの?」
裕子が聞いた。
「わからん
追いかけて行ったら
途中に全部捨ててあった」
と広之。
「捨てるくらいなら
ひったくるなよ」
首を振りながら大介。
「もしかして
クーハンの中身か?」
雅史が言った。
「雅樹!?」
みんなは一斉に叫んだ。
みんなの大きな声に驚いて
雅樹が泣き出した。
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