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オレの喧嘩の強さは、どうやら親父譲りのものらしい。
親父はその昔、この辺りでは名の知れた暴走族のトップだったようだ。
周りからその尋常ではない強さを恐れられ、『鬼神』やら『鬼の須藤』なんて呼ばれていたそうだ。
しかし、今では何てことの無い平凡などこにでもいるサラリーマンである。
当時『鬼』と恐れられた面影は見る影もなく消え去っていた。
もし、昔の親父の仲間が今の親父を見たら唖然とするだろう。
そんな親父から、異常なまでの喧嘩強さを受け継いでしまったオレは大変迷惑している。
そしてもう一つ…オレの『人を惹きつける体質』のせいで、より一層苦労させられていた。
どういうわけか、オレは自分の意志とは関係なしに、人を惹きつけてしまうのだ。
それもやってくるのはどいつもこいつも腕っ節の強い奴らばかり。
だが、それでも…親父から受け継いだ力の前ではそいつらも赤子の様なものだった。
そして、そいつらを撃退していく内に、オレは『不良』と判断されてしまったのだ。
実に不愉快である。
オレはただ普通でいたいのにこの二つがいつも邪魔する…。
はぁ……不幸だぁ…。
たまには普通の日常を過ごしてみたいものだ。
……とか言っている間にも、既に学校の目の前まで近づいていた。
そういえば昨日…昼休みに屋上で昼寝してたら上級生に絡まれたなぁ…。
今日はそんなことが無いことを祈るか。
まぁ、でも…まずは怒られに、職員室に向かうか…。
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