-真琴-

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「まぁいいわっ。食事はちゃんと食べてね。 また後で来るから。」 前田さんはあたしの布団を整え窓を閉めると、ガチャガチャ音をたてながら部屋を出て行った。 ふんだっ! もう来なくていいから。 部屋の扉が閉まると、また静まり返った病室の中に孤独を感じた。 あたしはリモコンに手を伸ばし、テレビを眺めた。 もう、この画面の中にあたしの居場所はない。 華やかな芸能界から、あたしの名前が消えてしまった。 半年前まで、あたしの周りは賑やかで華々しかったのに。 テレビをつけると虚しさが胸を締め付けた。 あたしの命はあとどれくらい? あたしはいつまで、前田さんとあんな会話が出来るんだろう……。
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