恋心

10/20
前へ
/50ページ
次へ
あたしが拓真のもとに駆け寄った時、 もの凄い息切れで恥ずかしかったぁ。 そんなに急いで来たのかよ? そんなに俺に逢いたかったの? そう想われても構わない。 あたしは、拓真に逢いたかったんだ……。 そして今ここに、 あたしの目の前に、拓真がいる。 拓真がはにかんだように笑ってる。 「打ち上げまでまだ時間あるし、少し歩かない?」 サングラスを外し、拓真があたしを誘う。 「いいわよ、今日で最後の夜だもんね。」 あたしたちは、2人で海岸線に向かってゆっくり歩き出した。 あたしと拓真は、風が少しだけ通り抜けられるくらいの、 手と手が触れ合えるくらいの、切ない距離を空けて歩いた。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加