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「まったくっ!あの樋口真琴の本性がこんなんだったとはねっ!」
前田さんは、部屋の片隅に飾られたあたしのカレンダーの写真に視線を移し、ため息を吐く。
悪かったわねっ!
あたしも好きでこうなったわけじゃないのよっ。
周りにチヤホヤされて、わがままを許されてきた結果にこの性格が出来上がったんだからっ。
あたしのせいなんかじゃなくってよ?
-ピピピッ-
37・8℃
最近ずっと微熱が続いてた。
前田さんはあたしから体温計をひったくり、カルテに書き込んだ。
表情なんてまるで変えない。
前田さんはあたしのか細い腕を取り上げ、エタノールで消毒を始める。
「今日は食欲はある?」
そう質問しながら、あたしのか細い腕に点滴の針を突き刺した。
「あるようなぁ……、ないようなぁ。」
あたしの応えは決してふざけているわけじゃないのに、
前田さんは不機嫌そうに言うの。
「どっちなの?」
その不機嫌顔にあたしの唇も尖るの。
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