序章

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物心がついた時には、すでにその動物園は閉鎖していた。別に残念とは思わない。周囲は山や流れの速い川ばかりがあるこの地域にとって、そこは子供でも安全に遊ぶことができたから。 だから、僕らはいつもそこで遊んだ。閉鎖している動物園に入りこむだなんて、本当はいけないんだろうけれども、周りの大人達は叱らなかったし、逆に他の場所で遊んでいると「動物園に行け」って怒られた。大きくなってから知ったのだけれども、あの動物園の所有者は借金を苦に自殺してしまい、取り壊しはしなかったらしい。だから、あの動物園は地域の人間に有効活用されたというわけだ。感謝。
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