序章

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「ねぇ、氷夜。あたしは行くよ、アメリカに。アメリカでお好み焼きを作りたいもん。お好み焼き屋・久留米を広めたいもん。ウチのお好み焼きは世界一なんだから!」 「うん……小母さん達には、話したの?」  再び寝転がった秋穂を薄目を開けて見ながらそう言うと、秋穂はニヤッと笑った。 「今日、言う。最初に氷夜に聞いて欲しかったんだ。氷夜、アンタあたしの親友よね? あたしのこと、応援してくれるよね?」 「えっと……」  口ごもると、秋穂は目をカッと見開いて恫喝した。 「返事はハイッ! 口ごもるな、みっともない!」 「は、ハイッ!」 …………あ。 「よしっ! 応援ありがと、氷夜。あたしの沓、作ってね。アンタのセンスに任せるから」  秋穂は上機嫌で象の檻から出て行き、一人家に帰ってしまった。 残された僕は、深く深く溜息をついて、まだまだ未熟な腕を愁えた。
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