0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
終点に着きました。
しかし、そこには何も無く、ただ雲と霧だけが広がっていました。
振り返って見ても、そこにはもう登って来たエスカレーターさえありませんでした。
少年が途方にくれていると、知らない人がたちがやって来て、こっちだよと手を引っぱりました。
少年は他に誰も頼る人がいないので、不安に思いながらもついて行きます。
霧の中を進んでいるうちに別れた仲間達が呼ぶ声がかすかに聞こえてきました。
「そっちはダメだよ」と少年を呼んでいます。
更に進むと女神が現れて、「その手を振りほどいて逃げなさい」と言います。
少年は引っぱる手を振りほどこうとしましたが、その力はとても強く、振りほどく事は出来ません。
ただただ引っぱられるままに、霧の中を進むしかありませんでした。
どれだけ進んだのでしょうか、突然、引っぱっていた手が離れました。
すると少年の足元にあった雲が無くなり、少年は深い深い闇の中へ落ちていきました。
気が付くと少年は真っ暗な闇の中、一人で居ました。
その闇はあまりに深く、少年はとても悲しい気持ちになりました。
上も下も周りも分からない闇の中、少年はある声を聞きました。
その声はすぐ隣から聞こえてきて、「一緒に行こう」と誘います。
その声はいつか聞いた女神の声でした。とても温かく、優しい声に安心して、少年は進み始めました。
声の導く方へ歩いて行くとそこには上へ昇る階段があり、先の方には光が見えています。
すると、昔別れたはずの仲間たちもやってきて「一緒に昇ろう」と誘います。
少年はその階段を登る事を決めました。
先は長くとても大変そうだけど大丈夫。
もう一人じゃありません。
仲間がいます。
そして、女神も隣で励ましているのですから。
少年は約束します。もう一度頑張ってこの階段を登っていこうと。
最初のコメントを投稿しよう!