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火の海と化している建物、悲鳴をあげ逃げ惑う人々。
「あ、あぁぁ……」
昨日まで美しく平和だったはずのレインクリスが今では地獄と化している。
「あぁ…レインクリスの人々が…!イヤァ…!?」
私は手で顔を覆い隠す。
こんなの見てられない!目から涙が溢れ出した。
「リスティ…悲しい気持ちは私にも痛いほどわかります!…けど今は泣いている時間はないのっ!だから貴方は早く水晶の間に急ぐのよっ!!」
お母様は泣いていた。
真剣に私を見つめる瞳には確かに涙を浮かべていたが、それでもお母様は凛とした女王の名に恥じぬ顔をしていた。
お母様だって悲しいんだ。
なら私もこんな所で泣いてなんかいられない!
「…わかりました!」
涙を拭き、私は走り出す。
今は急いで水晶の間に行かなければ!
水晶の間に向かっている間にも爆音はさらに激しさを増していた。
きっと侵入者はこの城にクリスタルがある事に気が付いたんだ!
私は息を切らしながらも水晶の間にたどり着いた。
大きな扉を開ける。
そこにはお父様が居た。
「…お父様っ!?」
お父様は険しい顔をしていたが冷静だ。
「来たか…リスティよ…」
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