若返り

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頬の余分な贅肉を取り、赤みを消して、しっとりと毛穴の目立たぬ肌になった自分は、まるで二十代前半に逆戻りしたようだ。 いや、あの頃よりも輪郭は洗練されてシャープになり、目元はあの頃になかった何ともいえない大人の女の色香を含んで潤んでいるではないか!? 「頬の赤みは美容レーザーで消すんだ。美肌効果もあるから、肌のキメも整うよ」 須崎はモニターを指して説明する。 「先生、お願いします! わたし先生の腕だけは信用していますから!」 もう、そのほかは何も信用できなくとも。 須崎はフッと笑って髪をかき上げ、何かを記すためにカルテを広げた。 もう、費用なんて、気にならない。 ただひとつ、胸の奥に秘められた不安があるとすれば、今までは服に隠れるボディの脂肪吸引だった。 今度は、春でも夏でも秋でも冬でも、覆うものは何もない。顔の脂肪を吸引するのだ。 万が一にでも失敗したとしたら、一生取り返しがつかない。 大丈夫だろうか!?
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