屈辱

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その朝も、胃に詰め込むものも詰め込まず、できる限りの早足でウォーキングをしていた。 水しか飲んでいないのでふらつき、目が回る。 前からチリンチリンと五月蝿く鳴る自転車のベルの音に続いて衝撃が走り、気が付けば公園の草むらに投げ出されていた。 「おばさんっ、危ない!!」という叫び声を、意識の何処かで聞いた気がする。 ふくらはぎが痺れるように痛む。倒れる時、地面に打ち付けた頬っぺたがジンジンして土の匂いが鼻に拡がる。 わたしの上半身に、自転車の前輪が乗っかっていた。
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