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「……君はいつまでもそこで待っててくれるのか?
いつ、戻って来れるか……、いや戻って来れないかもしれない僕を待って……」
小さな桜の木を挟んで、1人の男と1人の女が向かい合っていた。
男がこれから何処にいくのかは恰好を見ればおおよその見当がつく。
額に布当て、木の盾に、見た目も強度が弱そうでいびつな剣らしきもの。
恐らく、……いや確実に戦いに出るのだろう。
「……大丈夫じゃ。わらわは待つぞ。例え、百年――……。いや、千年以上経とうとも――……。」
女はこの時代には明るい色の着物らしきものに身を包みんでいた。
髪型は後ろで長い髪を1つに纏めており、長いまつげにキリリッと鋭い瞳、鼻は高く、正に絶世の美女と言うに相応しい美貌だった。
「――……もし、――……もしも待っていてくれるなら……。絶対に会いにいくよ。例え、何年、何千年経とうとも……。
――……必ず……!」
男はそう言って、女を抱きしめた。力の限り、しかし、相手が痛がらないぐらいに――……。
「――……ちょっ……! ま、まつのじゃ! 待て、待てと言っておろうに……!」
たいして女は顔をほんのり林檎色に染めながら、ちょっとした抵抗をした。もちろん嫌がってではないが――……。
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