最奥の桜

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 そんなこんなで俺らは「奥千本」までたどり着いた。 「奥千本」は来る途中にあった下千本、中千本、上千本とはまた違う雰囲気を醸し出していた―――。  まさに、『宝』と称しても納得の物だった。桜のヒラヒラと舞い落ちるそれですら、風景とか興味のない俺に非常に歴史を感じさせる。  ―――それに、……なんていうのだろう? 木々がざわめく度に、なにかに引っ張られるような感覚に陥る気がする。 「……よーし、後は自由行動でいいぞ。各自、桜を十分に楽しめ! では、解散!」  え? はっ? ちょっ……! いや、こんな所で解散させられても……!  ごっちゃごちゃのどっろどろ。人多すぎて動けねぇぇえ!  なにこれ? 新手のいじめ? こんなまるでクリスマスか大晦日の某ネズミさんのドリームランドじゃないか!  人の大洪水の如し、溢れかえっているこの場所で解散させられてもまったく身動きが取れないのが現状だった。 「……っわぷ。と、とにかくここから抜けないと……。……圧死する……」 「……っ、ふう。ようやく抜け出せた……けど、きよがどこかわからなくなっちゃったな」  ま、しかたないっちゃ仕方ないか。無理矢理突き抜けて来たからな~。  ―――ピクッ! と肩が動いたと思ったら、また引っ張られる感覚がやってきた。  しかもそれはさっきよりかも強くなっている気がする。  これは……、なんなんだ? 「引っ張られる方へ行ってみるか……?」  でも引っ張られる方向って頂上だよな? まあ、この状態が続くよりかはいくしかねぇか……。  
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