第2章

5/7
前へ
/56ページ
次へ
「あんまり面白い話じゃないんだけど、俺の両親さ、昔から忙しい人達で、あんまり会ったこともなくてさ。海外飛び回って色んな仕事してるんだ。父さんは服飾関係で輸入とか輸出して、母さんはその会社でデザイナーしてる。全然会えないし、話しもできないけど、でもすごく尊敬してるんだ!自分の好きなこと仕事にするってすごいと思うし、自分の夢を追いかけるために日々努力してるのはすごいと思わない?だから、ちょっとはさびしいけど、父さん達の夢が叶うの応援したいし。だから今は我慢!そんな感じで家に帰っても誰もいないから俺は帰らないんだ。」 浩輔の話を聞いて、俺は自分がなんて小さい人間だと思った。家族に会えない。会いたくても。でも考え方の違いで俺は親父を憎んだ。浩輔とは正反対に。なんだかこんな自分がものすごく嫌になった。そして俺は勇気を出して、俺のことも話してみた。 親父のこと。家族のこと。家のこと。今までの生活について…。 静かに俺の話を聞いてくれた浩輔。2人しか居ないこの部屋に沈黙が続いた。最初に口を開いたのは浩輔だった。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

339人が本棚に入れています
本棚に追加