第2章

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「なんかお互い大変だね。まぁ、よく考えれば俺の方が幸せかも知れないけど。」 浩輔は苦笑いしながら言った。俺は自分の言ったことにちょっと後悔もしていたが、本当の自分を浩輔に見せられた気がして、すっきりしていた。 「浩輔にもこんな家の事情があったんだな。俺ちっとも気がつかなかった。」 尊敬の意味を込めて俺は浩輔に言った。 「まぁ、俺は元気だけがとりえだからさ!いつも明るくしてたらみんな寄ってくるし!あんまり寂しい思いもしないし。」 やっぱり浩輔はすごい。俺が出来なかったことをいとも簡単にやってしまう。正直憧れる。 そんなことを思っていたら浩輔が切り出した。 「ちょっと気になったんだけど、潤は母親や兄弟に会いたくないの?今なら逢えるんじゃない?」 俺の考えても居ないことを浩輔が言い出して、俺は慌ててしまった。 ― 母親に会う?俺が?顔も名前も知らないのに? 今までそんな事考えてもみなかった。だって俺には最初から居ない存在だったし、俺の世界は親父中心に回っていた。だから母親が今何しているかとかどんな人なのかを考えることなんてしなかった。
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