第1章ー出会い

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桜の花びらが雪の様に散り急ぐ4月、俺たち3人は出会った。 黒龍学園高等部-この学校は中学から男子校で、大学までエスカレータ式に進んでいく、いわばお坊ちゃま学校。文武両道をモットーに開校50年という結構由緒正しい学校。 高校からは全寮制になるが、特別な事情があるな自宅からの通学が許されている。 そんな学校の入学式。 1年A組の教室。俺は期待と不安を胸に一杯にしながらその扉を開けた。 そこには、男子校にいるはずのない女の子みたいな生徒が、外の桜吹雪を眺めながら、優しく微笑んでいた。朝陽が教室に降り注ぎ、その生徒が輝いて見えた。 ―ハニーブロンドの髪。大きくてきれいな緑色の瞳。触れたら壊れてしまいそうな華奢な背中。 その光景が余りにも美しく、神秘的で俺は目をはずせず、その場に立ち尽くしてしまった。 多分一瞬の出来事だったのだろうが、俺にはこの時間が一生続くのではないかと思うほど、長く感じられた。
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