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「晶はね、肺の病気なんだ。走ったりとかあんまり運動できないのさ。だから小学生のときは結構一緒に遊んでたんだ。でも寮に入ってから会ってないから、今日久しぶりに会えて楽しみなんだよね。」
俺には結構衝撃的な言葉だった。翼の弟が病気。なんだか弟がいるから翼は自宅からこんなに時間をかけて通っているのではないかと思った。
こんな浩輔の話を翼は苦笑いしながら聞いていた。そしてこう切り出した。
「浩輔には感謝してるよ。小学生のころはいつも晶と遊んでくれたし。晶も浩輔には懐いてるし。俺なんかよりよっぽど兄貴らしいよ。」
やっぱり苦笑いしながら、翼が言った。すると浩輔が怒ったような口調で、
「そんなことないよ!翼は立派なお兄ちゃんでしょ?」
と、言ったから俺も翼もびっくりした。
「悪い、浩輔。ありがとう。」
そういうと翼はうれしそうだった。
俺は何も言えずにただ二人の会話を聞いているだけだった。俺も晶に会えるのが少し楽しみだった。
―この後にあんことが起こるなんて、予想もしなかった。
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