第1章ー出会い

6/7
前へ
/56ページ
次へ
一通り自己紹介が終わり、今日は午前授業ということで、お昼ご飯も食べずに解散。俺は学校の敷地内にある桜並木の下で散り急ぐ桜を眺めていた。 そして朝のあの神秘的は風景がフラッシュバックのように脳裏に蘇えった。キレイだったと素直に思えた。 するとそこに 「ねぇ!同じクラスだよね?たしか霞潤くん!」 いきなり話しかけられ、俺はビックリした。 今まさに考えていた人が目の前に現れた。ビックリしすぎて声も出なかった。 「ごめん。いきなり話しかけて。名前間違ってたかな?」 不安そうな面持ちで俺の顔を覗き込む姿に俺はなんだか赤面してしまった。 「いや!間違ってない!俺は霞潤。君は確か・・・。」 「椿浩輔だよ」 俺が言う前に言われてしまった。忘れるはずもない。しっかり脳裏に焼き付けた名前だ。 「ねぇ?こんなとことで何してるの?」 聞かれた言葉に戸惑ったが、別に疚しいことをしているわけでもないので、正直に 「桜を見ていたんだ。とてもキレイだったから」 と、答えた。 すると、 「キレイだよね!このソメイヨシノ。俺もさ、朝見入っちゃって!でもすぐ散っちゃう。桜って哀しいよね・・・。」 「あぁ。でも散っていくときでもきれいってすごいことだと思う。ちょっと憧れるかな?」 俺は何気に思っていることを口走って、後で後悔した。 椿浩輔がキョトンとした顔で俺を見て、そして、 「あははは!霞君って面白いね!桜見てそんなこと言った人初めて見たよ!」 俺は笑われた理由がわからず、キョトンとしていたら、 「ごめんね!いきなり笑って!だって散っていく桜に憧れるって人始めてみたから。」 「そうか?」 「ねぇねぇ!君変わってるって友達とかに言われない?」 そういわれて俺は一瞬困った。今まで友達らしい友達もいなくて、そんな会話すらしたことがない俺には、その質問はあまりにも酷だった。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

339人が本棚に入れています
本棚に追加