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暗い部屋の中にいた。 普段は電気で照らされた暖かな部屋にいるはずなのに… 静かに時計が針を刻む。 オレは何時間もここにいる。 パウロが帰って来ない。 こんなに遅い日は初めてだった。 ガチャガチャと扉が開く。最初に感じたのはパウロの声よりアルコールの臭い。 「パウロ?お酒飲んでるの?」 「…なんだ?ディックスか?」 ふらふらとリビングへ向かってくる。 普段は酒を飲まないパウロがこんなになってるなんて…。 手助けしようと近付いたら手で払われた。 「パウロ………」 何かが違っている。 いつもの優しいパウロじゃなかった。
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