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「あ………」
そう言ってから、ミナは無言になる。
けれども、潜望鏡を覗くのをやめない。
「なぁ、いたのか?」
ミナは、やはり潜望鏡をのぞくのを止めず、
ただ、うん、とだけ言った。
何故こいつがこんなに、夢中になっているのか、俺にはわからなかった。
けれども、そういうミナを見るのは、俺としては楽しかった。
「な……俺にも見せてくれねぇ?」
けれど、我慢できずに俺は言う。
マンボウを見たい。去年初めて海でマンボウを見たとき、
その感動を俺は思い出しつつあった。
ミナは、俺が潜望鏡を覗けるように無言で場所を譲った。
覗いてみろ、と頷いている。
俺は、わくわくしながら、潜望鏡を覗く。
ミナが無言になるほどの光景とは、なんなのだろう。
それが知りたくて。
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