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ゴウが、右手を振り上げる。
途端に、怒声は全て鳴り止み、緊張だけが場を支配した。
「てめぇら!」
野太い声がとどろく。
「俺をこの場に呼んでくれやがったことに、まずは感謝する!」
歓声が上がった。
しかし、もう一度ゴウが口を開くと、また静寂が支配する。
「俺は、知っての通り、そこのミナの父親だ!
そして、一昨日、婚約の話を本人から聞いた!」
外野から、『その時どんなお気持ちでした!?』と声が飛ぶ。
「正直に言おう! 俺は、腹がたってしょうがなかった!
どこの糞野郎が俺のお姫様をさらっていきやがるのかと思った!
そして、ぶん殴ってやりたいとさえ思った!」
また、嵐のような歓声。
さすが総司令、という声さえも聞こえる。
「だが、しかーし!」
乾杯をしようとしていた海兵の動きが、ぴたりと止まった。
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