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「糞野郎にしては上出来の台詞だ!」
にやり、と、たくわえた口ひげの片方が上がる。
「娘を、頼む」
そう言うと、鍛え上げた腕を後ろに振りかぶって。
俺は、目をとじなかった。
守ることさえ考えなかった。
ただ、受けようと考えた。
拳が近づいてくる。
だからなんだって言うんだ。
俺の後ろでミナが俺を見ている。
だから、痛みや、恐怖なんてもんは。
どうしようもなく等しく無価値だ。
腹にめり込んでくる。
最後の虚勢で、俺は、水原ゴウに笑って見せた。
口ひげがまた上がって。
俺は、宙を舞った。
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