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ゴウは目を細める。
「こいつぁな、たーくさんの人間を殺めてきたものだ。
その数は二桁じゃぁきかねぇ。そいつらには
家族もあっただろう、友もいただろう、だが、それらを
ぜーんぶたちきってきたもんだ。なぁ、『ハゲタカ』、聞いてるか?」
「………聞いてる」
「正義っつーのは、俺にはどういうことだか未だにわからん。
人を守るためならば人を殺めて良いのか? 俺はよくそう考える。
だが、いつも結論が出ることは、ない」
なぁ、ハゲタカよぉ、とゴウは笑う。
「でもな、俺はミナを守るためなら、いくらでも引き金が引けんだ。
ためらうことも、ないだろう」
空になったグラスをからからとならしながら。
「男は、守りてぇもんを守らなきゃいけねぇ。目の前にいる奴全員ぶち殺しても、だ。
いつかかならず、引き金を引かなきゃならねぇ瞬間がくる。わかるか?」
「………おぅ」
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