End Episode

10/12
前へ
/121ページ
次へ
ゴウは懐から、今度は一発の弾丸を取り出した。 そして、ゆっくりと銃にそれをこめる。 「そんときになぁ、お前は、おまえ自身の責任で、ミナの為に撃て。  撃てる人間で、あれよ。だから、弾は一発で良い、わかるな?」 かちゃり、と銃口を自分の方に来るように持って、 ゴウは拳銃を俺に差し出してきた。 「受け取れよ、ハゲタカ」 「…………なぁ、俺がもし、それを撃った時に」 俺は、ゴウの目を見る。 「ミナは笑ってくれるのか?」 「ぐだぐだうるせぇよ、ガキが」 空のグラスを、ゴウはぐいとあおる。 「んなこたぁ自分で考えろ! だがな、  親切にも俺がひとつ忠告しておいてやる」 グラスを、テーブルに音を立てて叩きつける。 「俺の愛する人が俺のためにこれを撃ったとき。  俺は、俺の愛する人を、はじめて怖いと思った」
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1477人が本棚に入れています
本棚に追加