1477人が本棚に入れています
本棚に追加
ゴウは懐から、今度は一発の弾丸を取り出した。
そして、ゆっくりと銃にそれをこめる。
「そんときになぁ、お前は、おまえ自身の責任で、ミナの為に撃て。
撃てる人間で、あれよ。だから、弾は一発で良い、わかるな?」
かちゃり、と銃口を自分の方に来るように持って、
ゴウは拳銃を俺に差し出してきた。
「受け取れよ、ハゲタカ」
「…………なぁ、俺がもし、それを撃った時に」
俺は、ゴウの目を見る。
「ミナは笑ってくれるのか?」
「ぐだぐだうるせぇよ、ガキが」
空のグラスを、ゴウはぐいとあおる。
「んなこたぁ自分で考えろ! だがな、
親切にも俺がひとつ忠告しておいてやる」
グラスを、テーブルに音を立てて叩きつける。
「俺の愛する人が俺のためにこれを撃ったとき。
俺は、俺の愛する人を、はじめて怖いと思った」
最初のコメントを投稿しよう!