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マスターが、グラスを二つ、盆に載せて載せてやってきた。
直接奪い取るようにして、ゴウは酒をあおって、
「だからな、ほんとは引き金なんざぁ引けねぇほうが良いのよ」
と、もらした。
俺は、ゴウから拳銃を受け取ると、それを天井に向けた。
「俺には」
パブの中が静まる。
全員が俺を見ている。
「ハゲタカには翼がある」
誰しも、俺を煽ろうとはしない。
「姫をつれて、空を飛んで逃げるから、俺には銃なんて」
引き金を。
おれはためらいもなく引いた。
「いらねぇ」
想像するより軽い、だが腹に来る音が響いた。
一瞬の静寂。
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