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「今日は良い天気ね。まさに洗濯日和だわ」
女が伸びをした。
大きく空気を肺に取り込む。
それをまた大きく吐き出す。
強過ぎるのではないかと言わんばかりの日差しを浴び、女の髪が美しく輝く。
綺麗な長い白身かかった金色の髪だ。
腰の辺りまで伸びており、背中の辺りで髪を結いでいる。
右手で洗濯物が入ったカゴを持ち、エプロンを来ており、見た目はどこにもいそうな村人だ。
だが、顔立ちは整っており、いわゆる可愛いに属するものだと思われる。
みずぼらしく特に化粧をしてるわけでもないが、薄くでも化粧をし、それなりの服でも着させれば、お嬢様の完成。
そんな彼女は海辺に来ていた。
左手には洗濯板を持っているので此処で洗濯物を洗おうというのだ。
洗濯機という便利な道具があるご時世に手洗いなどご苦労な事である。
ザザーン!
波の音共に潮の香りがする。
その匂いを満喫していた。
「ん?」
だが妙な違和感を感じた。
彼女の嗅覚は人より少し良い。
潮の香りに混ざって別の匂いがした。
「……生臭い」
その正体は浜辺に倒れる男のものだった。
「ちょっとあんた!確りして」
女が洗濯カゴと洗濯板を放り出し駆け寄る。
「うわっ!酷いケガ」
あからさまに嫌そうな顔をした。男は全身傷だからけなのだ。
「こんなとこで放置するのもなんだし持って帰るか」
溜め息一つ溢していた。
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