第二章 依頼

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「魔物退治してきた」 酒場に報告しに来ていた。 「本当ですか?エイガーさん」 ウエイトレスのレディが目を輝かせる。 「ああ」 「そいつは助かったぜ…じゃあ報酬だ」 とバーテンダーがお金を差し出してくる。 「いや…そんなつもりじゃ……」 私は報酬の為に退治して来たんではないんだが……。 「まあ…良いから」 無理矢理渡して来た。 「わかりました…ではありがたく……って、あれ?」 「どうした?」 「いや…報酬は4000Gと聞いていたから……」 6000Gある。 「いや6000Gだが……ほら」 酒場に貼られたチラシを指差す。 其処には魔物討伐、報酬6000Gと書かれていた。 ダークの奴、最初に言った通り分配したな。 ったく相変わらず変なとこ律義なんだから。 胸中ごちる。 「にしても…あのナイフ投げのにーちゃん、やっぱりトンズラしたな」 バーテンダーがぼやく。 それはダークの事だな。 「いや…違います。彼は私と一緒に討伐したんです。それと彼から前金の話は聞いています」 と言って1000Gを返した。 「おーそうか…だが顔を見せず行ってしまったのか」 「彼急いでいるようでしたから」 「だが残りの報酬は?」 「私が立て替えておきました」 「ん?となると報酬は4000Gだと騙され、ふっかけられたのか?」 「いえ、違いますよ…最初彼と組む時に言っていたのです。2/3貰うと……で、私は報酬は全て君にあげると言ったんですが、彼は律義に4000Gって言って来たんです」 「それ、お前さんのが律義じゃねぇか……報酬いらないなんて……ま 良いや。なんにせよ、これで安心だ」 「エドガー様!依頼を受けて頂きましてありがとうございました」 とウエイトレスのレディが満面の笑みで続く。 「いえいえ。レディの頼みとあれば」 「でも何故報酬をいらないなどと……?」 「君の笑顔が一番の報酬だからさ」 そう私は最初から君の笑った顔が見たかっただけさ。
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