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町に到着すると、とある噂が持ちきりだった。
行くとこ行くとこ同じ話を聞く。
なんでもケフラカが倒れされたとか。
たった12人で、ケフラカの城に乗り込み、そのケフラカを倒し、ケフラカ城を崩壊させたらしい。
ケフラカとは、魔導の力で世界を崩壊させようとした奴だ。
世界崩壊までいかないにしろ、このユグドラシル大陸は崩壊寸前まで追い詰められた。
全くいい迷惑だ。
そういえばあの男がその12人の一人だったのかな?
だからあんな傷だらけだったのか……考え過ぎか。
あたいは必要な物を全て買い揃え、家に戻った。
日は沈み辺りは、静寂の闇が支配していた。
時々聞こえてくるのは、魔物達の遠吠え。
男はベッドから一切動いていない。
あの傷だ……当然である。
ただ、シーツが真っ赤に染まっていた。
赤いシーツを使用していたという事ではない。
純白のシーツが染まっていたのだ。
勿論この男の血である。
確り替えのシーツは買って来ていたが、これを目の当たりしては、あまり良い気分はしない。
溜め息をつき、彼をベッドから降ろし、シーツを取り替えた。
あたいも一応女だ。
成人男性は移動させるのは、かなりしんどい。
休み休み作業を行った。
シーツを替えると、当然彼の包帯も替えた。
このまま戻したら、またシーツが、赤く染まってしまう。
一通り作業を終えると、天井からカーテンレールを吊らした。
そしてベッドをカーテンで囲む。
あたいも女である以上、人並みの恥じらいはある。
意識がないとわかっていても、男性の前で堂々と着替えるのは、気が引ける。
しかし、カーテンを張ったのは良いが、着替える事はしなかった。
いや、できなかったのだ。
気付くとあたいの意識は闇に呑まれていた。
流石に身体が限界なのだ。
海辺から男を運び、長時間に及ぶ治療、往復二時間かかる町までの買い出し、シーツや包帯の替え、そしてカーテンの取り付け。
もうヘトヘトで倒れてしまった。
せっかく買ってきた食べ物も無駄になる有り様。
全く迷惑な話だ……。
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