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「陽気なもんだね」
如月邸の向かいの家の屋根の上、一人の少年が楽しそうに屋根に座り込み、足を空中にふらつかせていた。
少年は如月邸を……いや、如月邸の中にいる銀髪の女性を一心不乱に見つめている。
もちろん外からは内部を視認することは出来ない。だがその女性が発する魔力や彼女特有の気配……人外の発する何かは視ることは出来る。
「ははははは、本当に楽しそうだ。昔のことを全て忘れ切ったようにあんなふうに笑って……」
少年の口端が酷く歪んだ。
「ホント、あの日常をめっちゃくちゃに醜く崩してあげたくなっちゃうじゃないか」
少年の姿は夕闇に掻き消えた。
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